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ある日の過ごし方

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毎日、忙しい。
日々忙しさにどっぷり浸っているといったいどれが本当の自分なのか分からなくなる。

例えば、取引き先の相手と会った後に、ふと、さっきまで喋っていたのは、
本当に僕だったのだろうかと思う事がある。
時間毎に、いろんな自分を演じている気がする。
まあ、それも必要なことなのだと思うのだが、できれば背伸びせず自然に過ごせる時間もほしい。そんなとき、かつてよく行ったのが海だと言ったら、ちょっとベタすぎだろうか。

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「PLUS-1」に最初に訪れたのは、仕事でだった。
こんなオシャレなカフェとはほとんど縁がなかったので、ひどく緊張したのを覚えている。舞い上がってしまって、何をどうしたのかもよく覚えていないのだが、1つだけ覚えていることがあって、それは、はじめて来たのに、なんとなく懐かしいなと感じたことだ。
何故なのかはよく分からなかった。いわゆる純喫茶のような店を訪れる機会もあったのだが、懐かしいとは感じなかった。
それから「PLUS-1」に何度か通ううち、その理由が分かってきた。「PLUS-1」で過ごす時間が、かつてよく行った海で過ごした時間とちょっと似ていたのだった。

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会社は、海まで車で30~40分で着ける場所にあった。
だから仕事帰りに、フラっと出かけた。と言っても別に着替えて泳いだわけではなくて海岸の近くに車を停めて、眺めていただけである。
気が向いたら波打ち際まで行って遊んだりしたけど、当時はずっと部屋に閉じこもりきりで仕事をしていたので、開放感に浸りたいという理由もあった。
だけど、1番の理由は、とりあえず落ち着きたかったのだ。

波の音だけが聞こえる空間は、自分を取り戻すのに十分な場所だった。
車内灯をつけて本を読んだりして過ごした。

だけど…..僕はまだ若かったんだな。
それは結局現実逃避でしかなかった。
甘ったるい気分に浸りたいだけだったのだ。
そこでも僕は、本当の自分になるどころか、違う自分を演じてしまっていた。
最初は確かに楽しかったのだけど、次第に飽きてしまい、結局やめてしまった。

「PLUS-1」は海に似ている。
白を基調とした南欧風の壁は地中海を連想するし、
ほのかな明かりの中、静かに会話するカップルの声はさざ波の音に似ている。
オープンテラスに出ると、砂浜が広がる光景が目に浮かぶ。
昼間、陽光を逃れペットと一緒に木陰でひと休みも楽しい。

だけど僕は、しばらく行かなくなった海の代わりにここを訪れるわけではない。
1人感傷に戻りたくて訪れるわけではないのだ。
何故なら、ここは誰もいない海岸ではない。忙しく動き回るスタッフがいる。

常に客が何を望んでいるかということに気を配り、迅速に、それでいて静かに行動するスタッフ。彼や彼女たちは、店内に心地のいい活気を生みだす。だから怠慢な快楽に身を沈めるのではなく、自分を取り戻すことができるのだ。
自然になれるのである。

毎日の暮らしと密接に繋がる店。
現実から逃れるのではなく、現実と向き合うために「PLUS-1」は僕にとっては必要な場所だ。

また行ってみようか。
訪れるには、いい季節だ。

——つくばの情報紙「ezpress」より